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国家資格である1級、2級、3級のファイナンシャル・プランニング技能士
の資格を取得するためには、1級~3級のファイナンシャル・プランニング
技能検定に合格しなければなりません。
ファイナンシャル・プランニング技能検定には学科試験と実技試験が
あり、原則として両方の合格が必要です。
このファイナンシャル・プランニング技能検定は2つの試験機関で実施
されています。
その違いと、どちらで受検すればよいかについて、詳しく解説します。
FP試験のきんざいとFP協会、どちらで受験する?
FP試験の2つの試験実施機関とは?
ファイナンシャル・プランニング技能検定の試験実施機関は、
きんざい(金融財政事情研究会)と、FP協会(日本FP協会)
の2つです。
資格の価値に違いはある?
きんざいで受検し合格しても、FP協会で受検し合格しても、
国家資格であるファイナンシャル・プランニング技能士の資格の
価値は同じです。
FP2級とFP3級試験について、2機関の違い
学科試験に差があるか?
FP2級とFP3級について、きんざいでもFP協会でも学科の試験問題は
同一です。
学科試験についてはどちらで受検しても差はありません。
選択する実技試験科目により、資格に差があるか?
実技試験の科目はきんざいとFP協会で異なり、複数ありますが、
どの科目を選んで合格しても、その級のファイナンシャル・
プランニング技能士の資格を取得できます。
差はありません。
受検日、受検手数料に違いがあるか?
FP2級とFP3級については、きんざいでもFP協会でも、受検日、
受検手数料に違いはありません。
学科試験と実技試験を同一日に受検可能か?
きんざいとFP協会では、試験会場が異なります。
そのため学科試験と実技試験を、きんざいかFP協会かに統一
して受検すれば、同一日に受検が可能です。
学科試験と実技試験をそれぞれ別の試験機関で受検するのは
試験会場が異なるため、ほとんど不可能になります。
実技試験の課目が異なるため、選ぶ実技試験によりどちらの試験機関を選べばよいかが決まる
上記のように、FP2級、3級において、学科試験は2団体とも同じ問題
ですが、きんざいとFP協会では、実技試験の科目が異なります。
学科試験と実技試験は同一会場で、同一日に受検しますので、
選択する実技試験の科目により、きんざいで受検するか、FP協会か
が決まります。
まず受検する実技試験科目を決めましょう。
実技試験科目が決まれば、自動的に受検する試験実施機関が
決まります。
一部合格の場合の試験実施機関の変更は可能か?
FP2級、3級において、学科試験または実技試験のみ合格の場合
(これを一部合格といいます)、次回(翌々年度末まで)、
不合格だった方を受検するとき、試験実施機関の変更は可能です。
(例)
・学科試験・実技試験をきんざいで受検し、学科(または実技)のみ
合格だった場合、次回の実技(または学科)試験は、FP協会で
受検することもできます。
また、きんざいとFP協会を逆にしても可能です。
FP協会のFP3級合格でも、きんざいのFP2級は受験可能か?
FP協会のFP3級合格でも、きんざいのFP2級を受検することは可能です。
また、逆に、きんざいのFP3級合格でも、FP協会のFP2級を受検する
ことは可能です。
FP3級の実技試験科目の選び方
実技試験科目
FP3級のきんざいの実技試験科目は次の2つがあります。
・個人資産相談業務
・保険顧客資産相談業務
FP協会の実技試験科目は次の1つです。
・資産設計提案業務
実技試験科目の選び方
A. 保険に関する仕事をしている方、今後する方、保険のことを
詳しく勉強したい方
→保険顧客資産相談業務 を選択→自動的に きんざいを選択
B. A以外の方
●学習する分野が少ない方がよい方
リスク管理が出題されないので→個人資産相談業務→きんざい
●難易度が低い方がよい方
FP協会の方が簡単な問題が多く、合格率もきんざいより高い
→FP協会
●できるだけ近くで受検したい方
きんざいの方が試験会場が広い範囲にあり、自宅から近くで
受検できる可能性が高いです。過去の試験会場等を調べて、
近い会場がある場合は、
→ きんざい にしてもよいでしょう。
●過去問を見て、自分が解きやすいかどうかで選んでも
よいでしょう。
FP2級の実技試験科目の選び方
実技試験科目
FP2級のきんざいの実技試験科目は次の4つです。
・個人資産相談業務
・中小事業主資産相談業務
・生保顧客資産相談業務
・損保顧客資産相談業務
FP協会の実技試験科目は次の1つです。
・資産設計提案業務
実技試験科目の選び方
A. 保険に関する仕事をしている方、今後する方、保険のことを
詳しく勉強したい方
A.1 主に生命保険や医療保険関係の業務をしている、今後する方
→生保顧客資産相談業務 を選択→ きんざい
A.2 主に損害保険の業務をしている、今後する方
→損保顧客資産相談業務 を選択→ きんざい
但し、損保顧客資産相談業務の試験は毎年9月のみの実施で、
選択する受験者が少なく、対応する問題集や参考書も少ない
ので注意が必要です。
B. 中小事業主資産相談業務の問題に興味があり、学習ができそう
と考えられる方やFP1級受検を予定している方
→中小事業主資産相談業務 → きんざい
但し、受検者が少なく、対応する問題集や参考書も少ないので
要注意です。
C. A、B以外の方
●学習する分野が少ない方がよい方
リスク管理が出題されないので→個人資産相談業務→きんざい
●難易度が低く合格しやすい方がよい方
FP協会の方がきんざいより問題数は多いが、解きやすく、
合格率も高い →FP協会
●できるだけ自宅近くで受検したい方
FP3級の場合と同様、きんざいの方が試験会場が近いと考える方は、
→ きんざい にしてもよいでしょう。
●過去問を見て、自分が解きやすいかどうかで選んでも
よいでしょう。
FP1級試験の試験実施機関の選択
FP1級の学科試験
FP1級の学科試験はきんざいのみで実施されています。
したがって、選択の余地なく、きんざいとなります。
FP1級の実技試験(きんざい)
きんざいのFP1級の実技試験
●受検資格:FP1級学科試験合格者またはCFP資格審査試験合格者等
●試験日:FP1級学科試験より6カ月以内
6月、9月~10月、2月の年3回
●試験科目:資産相談業務
●出題形式:口頭試問方式(面接)
●受検手数料: 25,000円
FP1級の実技試験(FP協会)
●受検資格:FP1級学科試験合格者またはCFP資格審査試験合格者等
●試験日:9月の年1回
●試験科目:資産設計提案業務
●出題形式:筆記(記述式)
●受検手数料: 20,000円
FP1級実技試験をどちらで受検するか?
FP1級実技試験の合格率は、きんざいが約85%、FP協会が70~88%
程度となっており、両者共合格率は高いです。
どちらで受検すればよいかの目安は次の通りです。
A. 面接でなく、筆記試験で受検したい方
→ FP協会
B. 受検手数料を安くおさえたい方
→ FP協会
C.できるだけ早く合格したい方
きんざいは年3回受検のチャンスがある。
→きんざい
まとめ
FP2級とFP3級受検の場合、原則としてまず実技試験の科目を
決めましょう。そうすればおのずと受検する試験機関が決まります。
もし迷う場合には、実技試験の過去問を見て決めたり、試験会場
が近いかどうかで決めてもよいでしょう。
FP1級実技試験については、面接試験か筆記試験か、得意な方で
選んでもよいです。