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契約

FPと関連する資格として、行政書士があります。

他のFPと差別化するためにも、行政書士にも関心があるという方に向けて、

この記事では

●行政書士、行政書士試験とは何か?

●FPと行政書士の試験の難易度の違いは?

●FPと行政書士両方の試験の同時受験は可能か?

●FPと行政書士のダブルライセンスはキャリアアップ・就職・転職・独立に有利か?

等について解説します。

FPばかりでなく、行政書士も興味がある方はぜひ参考にして
ください。

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FPと行政書士のダブルライセンスのメリットは?

行政書士とは

行政書士とは、行政書士法に基づく国家資格です。
弁護士・弁理士・司法書士・税理士・社会保険労務士・
土地家屋調査士・海事代理士と共に職務上請求権が認められて
いる8士業の一つです。

行政書士の仕事とは

行政書士は以下の業務を行います。

(1)官公庁に提出する書類の作成、手続き代理、相談業務

(2)権利義務に関する書類の作成、手続き代理、相談業務

(3)事実証明に関する書類の作成、手続き代理、相談業務

具体的には次のような業務等を行っています。

・各種許認可申請手続き
・法人設立手続き
・外国人雇用申請手続き
・会計業務
・遺言・相続
・外国人在留資格申請・帰化申請
・自動車関連業務
・土地活用

行政書士は、弁護士、司法書士と一部共通している
(どちらでもできる)業務もあります。
それだけに、幅広い業務を行えるのが、行政書士の特徴です。

行政書士になるには

行政書士は下記のいずれかに該当する人を指します。

・行政書士試験に合格した人
・弁護士となる資格を有する人
・弁理士となる資格を有する人
・公認会計士となる資格を有する人
・税理士となる資格を有する人
・国または地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間、
及び行政執行法人または特定地方独立行政法人の役員または職員として
行政事務に相当する事務を担当した期間が通算して20年以上になる人

行政書士として働くためには

資格を持っているだけでは、行政書士として働くことは
できません。

日本行政書士会連合会に対して登録申請を行い、行政書士名簿に
登録される必要があります。

行政書士試験とは

【試験日】
年1回 11月
試験時間:3時間

【試験科目】
次の2科目です。

(1)行政書士の業務に関し必要な法令等(46題)
(択一式および記述式)

憲法、民法、行政法(行政法の一般的な法理論、行政手続法、
行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法を
中心とする)、商法(会社法)、基礎法学

(2)行政書士の業務に関連する一般知識等(14題)
(択一式)

政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解

【受験資格】
年齢、学歴、国籍等に関係なく、誰でも受験することが可能です。

【合格基準】
「行政書士の業務に関し必要な法令等」の得点が満点の50%以上
(122点以上)
「行政書士の業務に関連する一般知識等」の得点が満点の40%以上
(24点以上)
試験全体の得点が満点の60%以上(180点以上)

【受験者数・合格率】
2015年度から2019年度までの5年間について、
受験者数は、 約39.000人~約44,000人
合格率は、10.0% ~ 15.7%となっており、合格率は
高くありません。

【難易度】
行政書士試験は宅建試験より難易度がやや高く、社労士・
司法書士試験、税理士試験よりやさしい試験です。

行政書士試験の合格率は低く、難易度は決して低くはありませんが、
絶対評価で合格ラインもはっきりしていますし、計画を立てて
しっかり努力し万全な準備をすれば合格できる資格試験です。
超難関試験ではありません。

【合格までの学習時間】
行政書士試験合格までの学習時間は人によって異なりますが、

大学等で法律の学習経験がある方なら、平均的に300~500時間、
一方、初めて法律を学ぶ人が独学で勉強する場合には
平均的に800~1,000時間と言われています。

もし1,000時間とすると、1日3時間勉強するとして、約1年必要
になります。

行政書士試験の通信講座では、500時間程度を目安として
講座を展開している場合が多いです。

その場合には1日2時間の勉強で、8カ月、1日3時間の勉強で
6カ月かかることになります。

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FPと社労士の試験の難易度の違いは?

FPと行政書士では行政書士試験の方が難易度が高いです。

行政書士試験は各種法律など学習する範囲が広く、合格までの
学習時間もFP1級やCFPより多いです。

合格率も低い試験です。

FPと行政書士両方の試験の同時受験は可能か?

FPと行政書士で共通の試験科目・内容を探すと、行政書士で
勉強する民法の家族法が相続に適用されます。
FPは「相続・事業承継」という分野で相続に対応します。

従って特に相続という分野で、FPと行政書士は関連があります。
逆にいうと、その他の分野では両者に共通の試験科目はあまり
ありません。

ですから、相続以外はほとんど別々な内容を勉強しなくては
なりません。

FPと行政書士の両方の合格をめざすのであれば、同時に勉強する
のではなく、年に1回しか試験のない行政書士を優先させた方が
よいです。

FP1級、CFP試験は年に数回ありますので、行政書士試験終了後の
勉強でも間に合います。

行政書士試験はFP試験や宅建試験よりも難易度が高いですが、
社会保険労務士や税理士試験よりはやさしいです。

超難関試験ではありませんので、できれば予備校や通信講座を
利用して計画的に着実に勉強すれば、1年での合格も可能です。

FPと行政書士のダブルライセンスはキャリアアップ・就職・転職・独立に有利か?

会社員でFPと行政書士のダブルライセンスを所持していても
行政書士に関してのメリットはほとんどありません。
行政書士はほぼ独立を前提としている資格だからです。

一方独立開業する場合には、FPと行政書士のダブルライセンスは
大いにメリットがあります。

FPと行政書士では特に相続の分野で関連性が深いです。

顧客から相続についての相談を受けた場合、FP単独資格しかない
場合には、どんなに優秀なプランを提示したとしても、
実際の相続の書類作成や手続きは行政書士に任せるしか
ありません。

一方、FP本人が行政書士を取得していれば、相続に関する手続き
を全て自ら迅速に進めることができ、顧客からも感謝されます。

特に相続分野において、ダブルライセンスは大きなメリットが
あると言えるでしょう。

まとめ

FPと行政書士は特に相続の分野において、関連性があります。
独立開業する場合、この2つのダブルライセンスは、相続分野
において、大いにメリットとなるでしょう。

行政書士試験は宅建よりは難易度が高いですが、社労士よりは
易しい試験です。決して楽には合格できませんが、超難関では
ないので、挑戦する価値は大いにあります。

独立開業するにあたっては、他のFPと差をつけるためにも、
行政書士だけでなく、宅建や社労士などのダブルライセンス、
トリプルライセンスは決してむだにはならないので、FPと
共に、取得を考えるとよいでしょう。