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税理士

FPに関係の深い資格として、税理士があります。

税理士は難関で取得までに長時間を要する資格ではありますが、
それだけに税理士+FPのダブルライセンスは、特に独立を
希望するFPに有利と考えられます。

FP資格はもちろんのこと、税理士資格にも興味がある
という方に向けて、

この記事では

●税理士、税理士試験とは何か?

●FPと税理士の試験の難易度の違いは?

●FPと税理士両方の試験の同時受験は可能か?

●FPと税理士のダブルライセンスはキャリアアップ・就職・転職・独立に有利か?

等について解説します。

FP資格だけでは物足りない、税理士にも関心があるという方は
ぜひ参考にしてください。

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FPと税理士のダブルライセンスのメリットとは?

税理士とは

税理士は、税理士法に定める国家資格及びそれを職業とする者の
名称です。弁護士・弁理士・司法書士・行政書士
社会保険労務士・土地家屋調査士・海事代理士と共に、職務上
請求権が認められている8士業の一つです。

税理士の仕事とは?

税理士は主に次の業務を行います。
(1)~(3)は税理士のみに許される独占業務となっているため、
税理士資格のない人は行うことができません。

FP資格のみを持っている場合、税に関する一般的な知識・情報を
顧客に伝えることはできますが、税理士の独占業務は
行なうことができません。

(1) 税務代理

納税者の代理として、次の業務等を行います。

・確定申告
・青色申告の承認申請
・税務調査の立会い
・税務署の更正・決定に不服がある場合の申立て
など

(2) 税務書類の作成

納税者の代理として、次の書類等を作成します。

・確定申告書
・相続税申告書
・青色申告承認申請書
・その他税務署などに提出する書類

(3) 税務相談

税金に関する相談にのり、正式な回答を行います。

・納税に関する相談
・税務調査に関する相談
・会計業務に関する相談

(4) 補佐人

租税に関する訴訟について、訴訟代理人である弁護士とともに、
補佐人として裁判所に出頭し、陳述(出廷陳述)を行います。

(5)その他の業務

・会計業務
・会計参与
・経営相談
・社会貢献(租税教育等)

税理士登録

税理士試験に合格しただけでは、税理士を名乗って税務に関する
業務を行うことはできません。

一定の手続きに従って、税理士会への登録が必要になります。
その際、実務経験等が必要です。

また登録の際に、登録免許税、登録手数料がかかります。
また、税理士会の会費も必要で、毎年約10万円~15万円が必要に
なります。

税理士試験に合格した後のこともよく考慮して、試験を受験
した方がよいですね。

税理士試験とは

【試験科目】
5科目です。

・会計学(簿記論及び財務諸表論)の2科目

・税法(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法又は酒税法、
国税徴収法、住民税又は事業税、固定資産税)のうち受験者選択の3科目
(所得税法又は法人税法のいずれか1科目は必ず選択)。

科目合格制のため、一度に5科目合格する必要はなく、1科目ずつ
受験してもよいことになっています。

【試験日】
毎年1回 8月の連続3日間。1日に3科目ずつとなっています。
1科目の試験時間は2時間です。

【受験資格】
以下の何れかの資格があれば受験できます。

(1)学識による
(2)資格による
(3)職歴による
(4)その他

【合格基準点】
各科目とも満点の60パ-セント
5科目とも合格に達したときに、合格者となります。

【合格率】
2015年度~2019年度5年間の受験者数と合格率は
受験者数が、約29,800人~ 約38,000人
合格率は、15.3% ~ 20.1% となっています。

【学習時間】
合格までの学習時間は人にもよりますが、約3,000時間と
言われています。

5科目の合格が必要になるため、最低でも2年、多くは3-5年を
かけて合格するのが一般的です。

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FPと税理士の試験の難易度の違いは?

税理士とFPでは圧倒的に税理士の方が難易度が高いです。

CFPやFP1級でしたら、必要な学習時間は数百時間程度で、
1-2年で合格することも可能ですが、

税理士試験は、学習範囲が広く、必要になる学習時間も長いです。
また、合格率も18%前後と低いです。

FPと税理士両方の試験の同時受験は可能か?

税理士試験は約3,000時間の学習が必要です。

独学ではほぼ合格は無理で、資格予備校や通信講座を利用して
学習し、1年に1~2科目ずつ受験して科目合格を重ね、
2~5年で最終的に合格するという方が一般的です。
中には10年以上かかるケースもあります。

税理士試験に合格するためには、かなりの覚悟をもって、計画的
に勉強することが必要です。

FP試験が税理士試験と試験内容で重なっている部分は、
主にタックスプランニングのみとなります。

従って、FP試験と税理士試験の同時受験は、試験範囲が
膨大になるため現実的ではありません。

学習時間があまりとれない方、とにかく資格を早く取りたい方、
金融や保険会社勤務で会社の業務に活かしたい方は、FP資格を
まず取得しましょう。

税金に興味があり、税の仕事に携わりたい方、将来税務中心で
独立したい方は税理士の資格を取得しましょう。

税理士資格を先に取得すれば、FP受験は、タックスプランニング
以外の科目に集中できます。

将来独立を考えている方も、税理士資格を取るためにはかなり
時間がかかりますので、まずFP資格のみで独立し、税理士と
提携するというのも一案です。

FPと税理士のダブルライセンスはキャリアアップ・就職・転職・独立に有利か?

FPと税理士のダブルライセンスは、会社勤務や、会計事務所勤務
においても優遇される可能性があります。

就職・転職の際も有利になります。

独立開業する場合には、特に有利になります。

税理士資格の他に、FP資格を有していれば、中小企業向け
でしたら、企業の税務全般を担うばかりでなく、個人の
相続や贈与などの税務や、ライフプランニングや保険、年金、
資産運用等の相談にものることができます。

FP資格ももち、税はもとよりお金に関する幅広い相談に応じ
られるので、FP資格も持った税理士は大変強みになります。

まとめ

FPと税理士は両方ともお金に関するプロなので、両者の
ダブルライセンスは大変相性がよいです。

開業して税務もFP業務も行える事務所であれば、他の
FP事務所と差をつけて強みになります。

税金に関しては一般的な相談だけでなく、確定申告などの
実際の税務や税務相談にも応じることができます。

またFPとして、ライフプランや保険・年金・資産運用
の相談にも応えられます。

FPと税理士の資格を両方持つのはベストですが、

税理士試験は難関で膨大な学習時間を要するので
実際には税理士資格を先に取得した方が、FP資格も持つ
という場合が多いです。

FP資格を持った税理士さんは多いです。

FP資格を先に取得し独立した方が、FPの仕事をしながら、
税理士試験にチャレンジするのはなかなか困難でしょう。

その場合は自分で税理士資格を取るのではなく、税理士さん
と提携した方が現実的だと思われます。