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宅建士

あなたは就職や転職に有利だと考えて、FP資格取得の勉強を始め
ようとしているかもしれません。

ところでFPと相性が良い資格として、宅建があります。

特に不動産業界への就職や転職、または将来の独立を考えて
いるのなら、FP資格の他に宅建も取得して、ダブルライセンス
を持てば、今後有利になるのでは、と考えるかもしれませんね。

この記事では

●宅建、宅建試験とは何か?

●FPと宅建の試験の難易度はどう違うのか?

●FPと宅建の両方の試験の同時受験は可能か?

●FPと宅建のダブルライセンスはキャリアアップ・就職・転職・
独立に有利か?

等について解説します。

FPばかりでなく、宅建にも関心がある方はぜひ参考にして
ください。

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FPと宅建の同時取得は可能?

宅建とは

宅建や宅建士とは、宅地建物取引士のことで、国家資格です。

不動産の取引時における重要事項の説明や、重要事項説明書への
記名押印、契約書等への記名押印は、宅地建物取引士が行う必要
があります。

宅地建物取引業者(不動産会社等)は、その事務所等の規模や
業務内容等に応じて、一定数以上の専任の宅地建物取引士を
置かなければなりません。

宅建の資格を取るには、宅建試験(宅地建物取引士資格試験)に
合格する必要があります。

合格後、宅地建物取引士となるためには、資格登録を申請し、
宅地建物取引士証の交付を受ける必要があり、費用もかかります。

宅建試験とは

宅建試験は毎年1回、10月の第3日曜日に実施されます。
誰でも受験可能で、試験時間は2時間です。

2019年の受験者数は22万人超で、大変人気のある試験です。

宅建試験では、不動産に関係する、民法等、宅建業法、法令上の
制限、その他関連知識という4つの内容が出題されます。

つまりFP試験における「不動産」分野と出題範囲が共通して
います。

FP試験の範囲は広く浅くですが、宅建試験では不動産分野に限り
深く出題されます。

FPと宅建の試験の難易度の差は?

宅建試験の合格率は15~17%程度です。

FP2級試験の合格率(学科が40~50%、実技は50~60%。日本FP
協会)より低いです。

宅建試験の難易度は、人により意見はさまざまですが、

FP2級より少し上で、FP1級とほぼ同等か少し上と言っている方
が多いです。

宅建は行政書士等の試験よりは易しい部類に入るものの、
FP2級よりは難しいと考えられるので、

FP試験のついでに取ってしまおうという気軽な気持ちでは
合格できません。

宅建試験に合格するためには、FP試験とは別々に受験するか、
同時に受験するかに関わらず、きちんと計画を立てて受験勉強
をする必要があります。

FPと宅建の両方の試験の同時受験は可能か?

FP2級、3級の試験日は、毎年 1月、5月、9月の年3回あります。

一方、宅建試験は毎年10月の、年1回の実施です。

FP2級の学習時間は一般的に、150~300時間と言われています。
1日2時間の勉強なら、3カ月~5カ月が必要です。

宅建試験の方は、学習時間は200~400時間と言われています。
毎日2時間なら、4カ月~6カ月の勉強が必要です。

よほど時間がある方は別として、仕事や家事・育児に並行して
勉強をするのなら、FP試験か宅建試験のどちらかに集中した方
がよいですね。

不動産関係の仕事に携わっている方やこれからめざす方は、
宅建を優先して取得しましょう。

金融機関勤務や、一般会社で社会保険労務等に携わる方、
これからめざす方は、FP2級を先に取得しましょう。

ただ、宅建は年1回の受験チャンスしかないので、1回逃すと
1年待たなければなりません。

特にFP2級を大至急取得しなければならない方以外は、両方の
資格を取得したい場合、宅建を優先させてスケジュールを組む
のがよいと思います。

たとえば、次の案はいかがですか?

●11月~5月:FP試験勉強優先。1月、5月のFP試験を受験する。
試験終了後、すぐに宅建試験の勉強を始める。

●6月~10月:宅建試験の勉強に集中する。9月のFP試験は受験
しない。宅建試験終了後、すぐにFP試験の勉強を始める。

なお、FP資格優先で、宅建を急がない場合には、FP試験合格後、
宅建の学習を始めましょう。

不動産の分野に関しては、両者の試験で学習内容に共通する所
が多いので、その点は勉強する上で楽になると思います。

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FPと宅建のダブルライセンスはキャリアアップ・就職・転職・独立に有利か?

FPと宅建のダブルライセンスは相性がよく、相乗効果が期待でき
ます。

両者とも不動産分野を学習しますが、FPはお金(資金)に関する
ことが中心で、宅建は法律の話がメインです。
両方を学ぶことにより、相互に不足する知識を補うことができ
ます。

現職で活かし、キャリアアップをめざす方

不動産業界に勤務の方なら、業務上、宅建はほぼ必須とされて
いる場合も多いです。

もしまだ宅建を取得していないのなら、仕事や昇級、昇格の条件
とされている場合もありますし、資格手当がつくかもしれません
ので、FPより優先して宅建を取得されるとよいでしょう。

その際FP資格も持っていれば、さらに優遇される可能性も
あります。

FPと宅建の2つの資格を取得しておけば、直接不動産取引に関われ
るだけでなく、以下に関するアドバイスや提案等もできます。

・住宅資金の貯め方、資金計画
・住宅ローンの有利な組み方、住宅ローン控除等
・不動産を使った資産運用(REIT、直接の不動産投資等)
・不動産の有効活用(不動産の等価交換方式等)
・不動産に関する税活用(固定資産税の軽減特例、不動産取得税
の軽減特例等)
・相続税の節税(小規模宅地等の特例等)

2つの資格を両方活用することにより相乗効果が生まれ、会社
からも顧客からも信頼性がアップします。

どちらか一つの資格しか持たない社員との差になるでしょう。

金融機関でも不動産の担保価値の評価等に、宅建の資格が重要視
されます。また、顧客の住宅ローン契約時等にも宅建の資格は
役に立ちます。

金融機関ならFP取得は当然として、宅建も持っていれば、仕事
の幅も広がり、待遇も有利になる可能性があります。

就職、転職をめざす方

不動産業界に就職・転職を希望するなら、予め宅建を取得して
おけば、履歴書に書けますし、有利です。

不動産業界の新入社員や転職してきた方は、半ば強制的に宅建
の受験をさせられるという話も聞きます。

そこにFPの資格が加われば、さらに有利になる可能性が
あります。入社前に宅建もFPも取得しておいて損はありません。

金融業界では、FP資格取得は当然のこととされています。
そこに宅建の資格が加われば、就職・転職をめざす他の候補者
に差をつけられる可能性もあります。

独立系FPをめざす方

FP資格だけでは独立するのはむずかしいという話をよく聞きます。

実際にFP事務所を構えている方も、FP+税理士や、FP+社会保険
労務士などの、ダブルライセンス、トリプルライセンスを
活用している方が多いです。

その面で、FP+宅建は独立する上で、FP単独資格より強い武器に
なります。

独立系FPとして活躍するには、自分の専門分野を持つことが、
他のFPと差別化をはかるために大変重要です。

宅建を取得すれば、FPとしてお金に関する広い一般的な
アドバイスができるだけでなく、宅建士として、不動産に関する
専門的で有益なアドバイスや提案ができるので、顧客の信頼を
得られます。

ダブルライセンスはこのように大変役立ちます。

まとめ

FP2級と宅建は、超難関資格ではなく、しっかり勉強すれば
どちらも一発で合格できるレベルの試験です。

スケジュールをうまく組んで、順調に勉強を進められれば、
1年以内に両方とも合格することも可能です。

誰にでもお勧めというわけではありませんが、特に不動産関係の
仕事に興味があれば、FP資格だけでなく、宅建も取得して
ダブルライセンスを持つことにより、仕事の幅も広がり、
昇格・昇級・昇進にもつながり、年収もアップする可能性が
大いにあります。

2つの資格を取得できれば、勉強の習慣もつき、自分の自信にも
なります。

学習をそのまま続けて、FP1級やCFPなどさらに上のFP資格や、
行政書士、社会保険労務士など難関資格に挑戦してもよい
でしょう。

やるきのある方は、ダブルライセンスもめざしてがんばって
いきましょう。